映画「1917 命をかけた伝令」ネタバレ感想

映画「1917 命をかけた伝令」ネタバレレビュー レビュー

映画について

2019年製作/119分/G/イギリス・アメリカ合作
原題:1917 配給:東宝東和
監督・脚本・製作 サム・メンデス
脚本 クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
製作 ピッパ・ハリス、ジェイン=アン・テングレン、カラム・マクドゥガル、ブライアン・オリヴァー
共同製作 マイケル・ラーマン、ジュリー・パスター
撮影監督 ロジャー・ディーキンス
プロダクションデザイン デニス・ガスナー
編集 リー・スミス
衣装 ジャクリーン・デュラン、デイビッド・クロスマン
音楽 トーマス・ニューマン
キャスト ジョージ・マッケイ、ディーン=チャールズ・チャップマン、マーク・ストロング、アンドリュー・スコット、リチャード・マッデン、コリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチ

『1917 命をかけた伝令』予告

あらすじ(ネタバレ)

3月6日放送予定のTBSラジオ「アフターシックスジャンクション(通称:アトロク)」の映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の課題映画に選ばれたのが「1917 命をかけた伝令」。アカデミー賞前哨戦である、イギリスアカデミー賞と米・製作者組合賞(PGA) で作品賞、ゴールデン・グローブ賞で監督賞を受賞しており、アカデミー賞本戦でも「パラサイト 半地下の家族」と作品賞を争いました。さらに、名匠ロジャー・ディーキンスによる長回し撮影による、ワンカット(風であって実際はカットを繋いでるそうです)の映像も話題になりました。ロジャー・ディーキンスといえば、近作だと「ブレードランナー 2049」「ヘイルシーザー」「ボーダーライン」「007スカイフォール」などなど、数々の名作を撮影しています。また、ドゥニ・ビルヌーブ監督、コーエン兄弟、サム・メンデス、M・ナイト・シャマランなど数々の監督作に携わっています。つまり、映像がすごいに決まってる。

(C) 2019 Universal Pictures and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

舞台となるのは第一次世界大戦中のフランス西部戦線。主人公のスコフィールドは、上官からメッセージを別舞台に届ける任務を任される。部隊は撤退したドイツ軍を追随し攻撃しようとしているが、実は撤退というのはドイツ軍の罠で、待ち構えるドイツ軍に突撃しようとしている。その事実を伝えないと1600名の命が失われるため、主人子はわずかに残された時間を必死に走って目的地を目指す。

(C) 2019 Universal Pictures and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

本作ワンカットということあって、ほぼリアルタイムにストーリが進行します。任務を任されてからノンストップでとにかく主人公ともう一人の兵士が走って走って走りまくります。一応ストーリーはありますが、ストーリー以上に移動途中に起こるアクシデントや兵士の感情を表現する個別の場面にドラマや感動がある作品だと感じました。また、リアルタイムにも関わらず映像の緩急がしっかりしており、まったく退屈しません。まず、塹壕から這い出て、敵陣に向かうまでの緊張感。そして、撤退して誰もいなくなった敵の塹壕の中でのホッとしたのもつかの間、トラップによって塹壕が崩れる展開。そして、難を逃れた後、桜のある一軒家でのハプニング。そして、味方との合流と別れ。敵からの襲撃と、戦争に巻き込まれた市井の人々の苦しさと主人公が故郷においてきた”痛み”。そして、迫力満点の戦果を走り抜ける場面。最後に出会う長官からの言葉。全てがミニマムな表現にも関わらず、それでもその場面の芯の部分がきちんと描かれています。

個人的な感想ですが、この映画は戦争で散っていく人間の命の儚さと、人間の尊厳を踏みにじる”戦争”の恐ろしさを描いた作品だと感じました。第一次世界大戦では、多くの若者、規則では18歳以上でしたが実際には16歳、さらにはもっと幼い少年らも戦地に向かいました。映画中盤で、桜が切り倒されている場所にたどり着きます。主人公と行動をともにする兵士がこれからサクランボの実をつけるはずの木が切られ、満開の花が散るのを嘆くシーンがあります。この桜の花というのは、若くして散っていく兵士達を、そして実をつけることのない桜の木というのは成長することのできない少年達を意味しているのではないかと感じました。

最後、主人公が無事にメッセージを部隊の長官に届けたのちに、「また明日はお前じゃない誰かが、突撃の命令を持ってくる」というようなセリフののち、主人公は悠々とそびえる立派な一本の木に向かっていきます。この木は過酷な戦火の中でも成長していっています。主人公のような少年達が戦争を生き延び、成長し、戦争の恐ろしさを残した声を「1917」という映画に残したということを表現しているようにも思えました。

鑑賞はIMAXがおすすめ

私は、IMAXで鑑賞したんですが、大正解でした。画角のことをTwitterでみて、それでIMAXで鑑賞しました。

戦争映画なのに美しいとすら感じるほどに映像が素晴らしかったのです。また、音の面でもIMAXがいいと思います。IMAXの包み込まれるようなサウンド設計と、爆音のおかげで、銃弾や爆撃の破壊的な音が体の芯で感じられるような体験ができました。また、戦争でよくある思わぬ方向から銃声がするような表現は、より立体的に音が感じられる劇場が好ましいです。そういった点で、IMAXは映像と音響の双方で満足できるのではないでしょうか。まだ、ぎりぎりIMAX上映をしている会場があると思うので、ぜひIMAXでの鑑賞をオススメします。

参考

公開から時間も経っており、そしてアカデミー賞作品ということもあって様々なサイトで本作の紹介がされています。私は、映画を見るのも好きですが、映画の解釈が広めるような記事を読むのも大好きなので、参考にしたサイトをご紹介します。

WIRED|驚異の全編ワンカット! 『1917 命をかけた伝令』の視覚効果は、こうして“映画のつくり方”を根本から覆した

VFXスーパーヴァイザーを務めたギヨーム・ロシェロンの言葉とともにワンカット撮影や視覚効果について開設されています。

THE RIVER|『1917 命をかけた伝令』究極の没入体験、圧倒的な緊張感と美しさ ─ 「自分が戦場を駆ける映画」「歯を食いしばりすぎて奥歯が痛い」

一般の方の感想をまとめており、自分が感じた映画への感想で言語化できてない部分が浮かび上がるきっかけとなりました。

『1917 命をかけた伝令』<異次元の没入感はこうして出来上がった!>11分超え豪華特別映像

『1917 命をかけた伝令』<異次元の没入感はこうして出来上がった!>11分超え豪華特別映像

撮影の様子や、スタッフや出演者のメッセージなど、鑑賞後に絶対見ておきたい。

2020年1月14日放送のTBSラジオ『たまむすび』にて町山智浩の「アメリカ流れ者」にて紹介。

番組で『1917 命をかけた伝令』と一緒に紹介されていたドキュメンタリー『彼らは生きていた』も見ました。『彼らは生きていた』を簡単に説明すると、本作も舞台は第一次世界大戦です。本作が特徴的なのは、使っている映像は当時撮影された記録映像を使っており、さらにナレーションは大戦後に収録された当時の兵士たちへのインタビューをつなぎ合わせ、さらにモノクロ無声映像の口の動きからセリフを割り出してアフレコで映像に当てはめるという、とんでもない作品です。監督は『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』のピーター・ジャクソン監督。こちらもまだ公開中なので、ぜひご覧ください。

映画『彼らは生きていた』予告編

コメント

タイトルとURLをコピーしました