[感想]ブリタニー・ランズ・ア・マラソン|人はいつでも新しいスタートをきれる

レビュー

ブリタニー・フォーグラーは気さくな性格で、友人も多く、ニューヨークのナイトライフを満喫していた。しかし、毎日のように朝帰りをする生活は彼女の健康を確実に蝕んでいたのである。ある日、ブリタニーはアデラールを処方して貰うために病院を訪れた。検査の結果、血糖値や血圧の数値が飛び抜けて悪いことが判明し、医者から「このままの生活を続けた場合、糖尿病などの生活習慣病を発症することは免れません」と強く言われた。
仰天したブリタニーは人生で初めて自分の健康に気を遣うようになった。取り敢えず、ブリタニーは近所でジョギングを始めることにした。最初は1ブロックを走るのがやっとだったブリタニーだが、徐々に長い距離を走れるようになった。やがて、ブリタニーはニューヨークシティマラソンへの出場を決意する。
なお、本作はコレイゾ監督のかつてのルームメイト、ブリタニー・オニールに起きた出来事を題材にしている。

Wikipedia

原題:Brittany Runs a Marathon
2019年製作/103分/アメリカ
監督/脚本:ポール・ダウンズ・コレイゾ 
製作:マシュー・プルーフ、トビー・マグワイア、マーゴット・ハンド
製作総指揮 ジリアン・ベル、リチャード・ウェインバーグ、ポール・ダウンズ・コレイゾ 
音楽:ダンカン・サム
撮影:シェイマス・ティアニー
編集:ケイシー・ブルックス
製作会社:マテリアル・ピクチャーズ、ピクチャーズ・フィルムズ
出演者:ジリアン・ベル、ミカエラ・ワトキンス、ウトカルシュ・アンブドゥカル、リル・レル・ハウリー、アリス・リー、ピーター・ヴァック、ケイト・アリントン、ユリ・ヘンリー=コーン、アダム・シーツ、ミッキー・デイ

予告編↓(英語です。)

Brittany Runs a Marathon

あらすじ

30歳を目の前に、仕事でもプライベートでも何も成し遂げられない”自分”に焦る主人公のブリタニー。ルームメイトは、仕事も恋愛も充実しておりインスタグラムでも「いいね」が絶えない。ある日、合法ドラッグをもらうために病院に行くと、体重と体を心配されるのです。「自分はドラッグももらうことができない」そんな惨めな自分を変えるために、ブリタニーはマラソンをはじめる。

これまで『意識高い系』とバカにしていたフォトグラファーの女性に誘われて、マラソンのクラブに入ります。そこで、同じく走ることが苦手な友だちもでき、3人でいつかフルマラソンを走ることを目標に少しづつ、でも確実に実力をつけていきます。

ルームメイトから「今夜、クラブに飲みに行こうよ。明日マラソン?趣味なんだからいいでしょ。」と言われちゃうんですが、ブリタニーは真剣にマラソンに取り組みます。マラソンのために仕事も増やし、相手を大切にした恋愛をし、同じ目標を持った友人と切磋琢磨します。

しかし、無理がたたって疲労骨折をし、夢だったNYフルマラソンの出場を諦めて実家に帰るブリタニー。しかし、育ての親からの優しい言葉と、ブリタニー自身の強さで再びNYに舞い戻り、1年後に念願のフルマラソンを走るのです。

ジリアン・ベルの魅力

本作、ジリアン自身が本当に走っており、撮影によって18kg減量してます。もともとサタデー・ナイト・ライブの脚本やコメディアンの経験から、過去作は『22ジャンプ・ストリート』や『ナイト・ビフォア 俺たちのメリーハングオーバー』といったコメディ映画での活躍が目立ちます。真顔で淡々と話す演技は彼女の十八番です。

事前に評価を調べていたところ、主人公ブリタニーの嫌味なところに共感できないという意見もみました。確かに、本編だけで考えるとブリタニーの人格を全面的に支持することは難しいかもしれません。しかし、これまでジリアン・ベル自身が演じてきた「ちょっと嫌味な感じの人」という身近にいそうな人の演技が活きていて、しかもラスト成長を遂げる主人公はジリアンならではの演技と言えます。

この作品の魅力

この映画の素晴らしいところは、《ダイエットをして痩せて異性にモテること》が人生のゴールではなく、《過去の自分を超える努力をできる”自分自身”を愛する》ことを伝えている点です。近年、「ロマンチックじゃない」「いつかはマイベイビー」といった、ステレオタイプのシンデレラ型(=理想的な男性が”女性的”な魅力に惹かれて結ばれる)ではなく、恋愛や仕事においてアイデンティティと向き合うことを賞賛するタイプの作品が増えているように思います(特に、ハリウッドの人気コメディで。日本では残念ながら見ない.…)。時代の潮流とマッチしているし、この作品ならではのメッセージも受け取ることができました。

この作品の新しいと感じたところは、主人公の交友関係が「ステレオタイプの交友とは反対」ということです。人間関係はやり直せるし、新しい交友やコミュニティも大切なものなのだと本作は語っています。進学や思春期を支えてくれた「親」に代わる人物は姉の夫(義兄)、友だちは地域のコミュニティで知り合った人や同じマンションの人など異なった家庭状況を抱えており、恋人は異なる人種で交際までの道のりも一筋縄ではないです。
本作は「マラソンを始める」ことをキッカケに、ブリタニーは自分のアイデンティティを大切に考え始め、さらに新しい交友、今まで見てこなかった自分の魅力に気が付き始めます。ルームメイトに「マラソンは趣味でしょ。プロじゃないんだから」と何度もバカにしてきます。仕事やSNSで他人に認められないとそれは「意味がない」「あそび」になるのかと問いかけているようでした。私も、映画を年間200本以上見てますが、これは仕事じゃないし、誰も褒めてくれないし、お金はかかるばかりです。それでも、自分で目標を立てて信念を持って鑑賞を楽しんでいます。他人に評価されるだけが「自分の価値」ではない。「過去の自分自身」超えていくこと、向上心をもって人生を歩むことが重要なんだと教えてくれた作品でした。

とはいえ、場面の説明不足が多いと感じました。主人公の生活拠点が再びNYに戻った時に、どこに住んでいるのか説明がなく、また他のシーンでも主人公の生活拠点がどこなのか鑑賞者が汲み取らないと理解できないシーンがいくつかあります。しかし、演出と編集の(ちょっとした)荒さを抜きにすれば、とっても面白い作品です。

ジリアン・ベル主演映画として、大変オススメです。これからもどんどんイイ作品に出て欲しいですね。

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